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防水工事における下地処理とは

防水工事の際にポイントになってくる「下地処理」についてご説明します。

下地処理をどのように行ったかで、施工後の防水層の状態・防水効果に大きな差が生じてくる重要な工程となります。

【下地とは】

防水工事における「下地」とは。

躯体(建物)に元々ある素地または防水層のことです。

 

【下地処理の中身】

防水塗料や、防水シートなど防水機能の要となる工法を施す前に下地の状態を整える工程を「下地処理」と呼びます。

では、下地処理とは何をするのか?

一般的な下地処理対応例・・・

  • 高圧洗浄
  • ケレン・清掃
  • 既存防水層撤去
  • 既存防水層穴あけ
  • 目地の撤去、充填
  • ひび割れの補修
  • 膨れの補修
  • ドレン廻りの補修

このほかにも、状態によって様々な補修方法があります。

 

【項目ごとにわかりやすく解説】

《高圧洗浄》

高圧洗浄とは ⇒ 高圧水発生装置で加圧した高圧水を噴射した時の衝撃で汚れを落とす洗浄方法になります。

屋上などの防水工事の場合、砂・ほこり・有害物質などが大量に蓄積されています。
高圧洗浄を行わずに防水工事をしてしまうと、膨れ・密着性の低下などの原因になってしまいます。
この工程を手を抜かずに行うことにより、長期にわたって防水機能が保たれます。

 

 

《ケレン・清掃》

ケレンとは ⇒ 専用の工具を用いて汚れや錆を削り落とし塗料の付着をよくするための作業です。

また、塗料の密着性が良くなるように表面を傷つける作業を目粗しと言います。
一般的にケレンと言えばこの目粗しも含まれています。
剥がれ落ちた汚れを清掃し、撤去して完了となります。

 

《既存防水層撤去》

既存防水層とは ⇒ 元からある防水層のことです

環境等の配慮から、既存の防水層を残して新たな防水層を作る「かぶせ工法」が主流となっていますが、下地の劣化具合や工法の種類によって防水層自体を撤去する事もあります。

 

 

《既存防水層穴あけ》

既存の防水層に通気性能がないため、予め何箇所か専用工具で穴あけをしておきます。そうすることで、通気緩衝工法にも対応できる下地になります。

 

 

《目地の撤去・目地材の充填》

目地(めじ)とは ⇒ 部材の接合部分にできる継ぎ目のことです。

伸縮目地とは ⇒ 温度変化によるコンクリートの膨張・収縮に追従し、亀裂を最小限にとどめるための目地です。一定区画ごとに設けられ、コンクリートの変形を吸収します。

継ぎ目にシール材を埋め込むことで部材と部材の隙間がなくなり密着します。
既存の目地の劣化具合によって、既存の目地材を撤去して新たな材料を埋めていきます。継ぎ目に少しでもヒビ・隙間などがある状態のまま防水層の形成を進めてしまうと、雨漏りの大きな原因となってしまいます。
後に見えなくなる部分ですので省いて工事を進める悪徳業者なども存在しますが、極めて重要な工程となります。

 

 

《クラック補修》

クラックとは ⇒ 「裂け目」「ひび割れ」のこと。 工業用語。成型された部品や建築物の壁・床などに発生したひび割れのこと。 

ヘアクラックとは ⇒ 髪の毛ほどのひび、という意味です。 ヘアークラックは幅0.3mm以下、深さ4mm以下のひびのことを言います。

ヘアクラックであれば問題ありませんが、名刺が挟まる位(0.3mm以上のひび)のクラックの溝幅の場合は修繕が必要となります。放置しておくと新規防水層を破断させ、雨漏りへとつなげてしまうので大変危険です。
業者によってクラック補修の対応は異なりますが、目安としてクラックはVカットもしくはUカットで綺麗にした上に、コーキングを充填し防水効果を高めます。

コーキングとは ⇒ 建築物において、気密性や防水性のために施工される隙間を目地材などで充填することです。 また、その材料であるパテなどを充填材・コーキング材・コーキング剤、または単にコーキングと呼びます。
《膨れ補修》

防水層の膨れ ⇒ ウレタン防水密着工法は床面を密閉させる防水ですので、建物の湿気や水分が外に出ようとするときに防水層がある為外に出られず、膨れを発生させることがあります。または、下地の状態が悪く、防水層との密着が良くないことが考えられます。

膨れ補修作業ですが、まず膨れている個所にカッターを入れて剥がしていきます。その後モルタルで不陸調整をして防水の準備が完了します。平らな方が密着する面積も増え、より良い防水工事が施工できます。

 

モルタルとは ⇒ 砂(細骨材)とセメントと水とを練り混ぜて作る建築材料です。煉瓦(れんが)・石・タイルなどの接着用。壁塗りにも使用されます。

不陸調整とは ⇒ 下地の段差をなくし、これから施工する防水の密着面を平らにすることです。

 

 

《ドレン廻り補修》

ドレンとは ⇒ 排水溝のことです。

ドレン廻りは不具合が起きやすい部位であり、雨漏りに直結してしまう厄介な部位でもあります。
ドレン廻りの既存防水に膨れなどの不具合がある場合は、カッターを入れて平らにし、凹凸は防水モルタルや防水材で不陸調整をします。
ドレン廻りの既存防水の劣化が著しく酷い場合は、既存ドレンの上にかぶせて補修できる「改修用ドレン」を用いて雨漏りしにくいドレン廻りにする事も可能です。

改修用ドレン設置とは ⇒ 排水溝の一部を新しいものに付け替える作業のことです。
改修用ドレンの素材は3mm程度の鉛のプレートと強化ホースで出来ています。プレート状の鉛シートを既存のドレンにかぶせて取付けをするのですが、多少の厚みが増すことによりドレン周辺部分のレベルが5mm程度高くなることがあるので、その周辺の高さ調整(不陸調整)をしっかりと行わなければなりません。

 

 

このように、下地処理方法は様々です。
職人さんの下地処理に対する細やかな対応力・技術力・知識の豊富さによって新規防水層の出来の良し悪しに差が出てきます。
そのためには、改修工事に対して的確な判断ができる信頼のおける業者さんに工事依頼をしましょう。

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